こんにちはkohapaです。
私は2018年の春に脳死肺移植手術を受けました。プロフィール。
術後の経過は良好で、2ヶ月後に退院、3ヶ月後には自宅に戻る事が出来ました。
移植後は、免疫抑制剤の服用で免疫力が低下する為、細菌、ウイルスの感染に注意しなければいけません。
細心の注意を払って生活していましたが、術後5ヶ月目でノカルジアという珍しい菌に感染してしまいました。
その時の治療がどんな物だったのか、お話したいと思います。
ノカルジア症とは?
真正細菌によるヒトの感染症。
健常者への感染は少ないが、私のように免疫抑制剤を服用していると、土壌中に住むノカルジア属を吸入する事で肺感染症を、皮膚の傷口に入る事で皮膚感染症を発症する。
肺ノカルジア症から血行性に転移して脳ノカルジア症を発症する事もある。
肺や、脳を住みかとして好む傾向があるそうです。
免疫抑制していると重症化する可能性があり、脳への転移は死に至る場合もあるので気を付けなければいけない。
運よく見つかったノカルジア症
通院日の1週間前くらいから少し咳がでるようになっていました。
朝、起きてからも体がだるくシャキッとしない、朝食後にもう一回寝るという事がよくあり、感覚的にもあまり良くないなと感じていました。
通院日、担当医は、抗生剤で様子をみましょうという対応でしたが、この日たまたま付き添いに来てくれていた妻が、このまま帰るのは不安がある事を担当医に訴え、念の為、入院して様子を見る事にしました。
この時の、痰の検査からノカルジアが見つかりました。
妻が居なかったらそこまで強く訴えず、そのまま帰って来ていた可能性が高いです。
ホント、妻には何度も助けてもらっています。
早めに感染が確認出来て本当に良かったと思います。
どんな治療をするのか?
抗生剤を使った治療を行います。
ノカルジアの菌は結構しぶといらしく、レントゲンや採血で見られる炎症が治まったとしても、1年程度の内服治療を継続しなければいけないそうです。
3週間の入院生活がスタート
2種類の抗生剤を使った治療をする事になりました。
1つは点滴での投与(1日3回)。もう1つは食後の内服薬。
点滴での抗生剤の名前は忘れましたが、内服薬は数年間予防の為に飲んでいた「バクタ」という薬でした。
今までは、月・水・金の朝食後に1錠という量でしたが、治療が始まると毎食後3錠という量にかわりました。
あまりの増量に驚いた、逆に「大丈夫?」と医師に聞いてしまった。
点滴の抗生剤がどうも合わない
点滴の抗生剤は食事前に投与し始めるようになっていたのですが、投与を始めるとなんとも言えないダルさに襲われるようになりました。
ダルさが強くてあまり食が進まなくなってしまいました。
2日目から食欲が低下、3口、4口手をつけるだけでまともに食事が摂れなくなってしまった。
そんな状態が一週間続いた。
食事が摂れないせいで夜中に空腹で目が覚める、軽くお菓子を食べるが気持ち悪くて戻す、という事が2日間続きました。
食事が取れない上に戻してしまう為、大切な内服薬までも飲めない状態になってしまいました。
あまりの気持ち悪さに一晩うなされ続けました。
抗生剤の中断
さすがに、この状態では抗生剤を続けられない、という判断になり点滴での抗生剤を中止する事になりました。
抗生剤を中止すると体調は直ぐに改善に向かい、中止した翌日には食事も摂る事が出来るようになりました。
抗生剤は中止して、内服薬で様子を見て行くことになりました。
脳のMRI検査を受ける
点滴の抗生剤を中止して数日後に脳のMRI検査を受けました。
脳に菌が転移していないかを調べる為の物です。
所要時間は30分程、検査中の音がうるさいのでヘッドホンをして頭をカバーみたいな物で覆いMRIの中に入っていきます。
ヘッドホンをしていても結構な音量のビープ音みたいな音が鳴り続けます。
結構長くて退屈ですが、怖さは特に感じませんでした。
検査の結果は、異常無し。良かった!
脳への転移が確認されなかったので抗生剤は内服のみでの継続となった。
ちょうど3週間で退院出来る事に
その後も毎食後3錠の「バクタ」内服を継続、点滴をしている時よりは全然体調は良かったが、正直少し気持ち悪さもあった。
場合によっては食欲がない事もあったが、レントゲンや採血の結果は良好だったので、ちょうど3週間で退院できることになった。
状態を見ながらではあるが、「バクタ」の内服は約1年続くことになる。
京都大学病院の半年検診で入院する事になった!
退院から1ヶ月後に京都大学病院で移植手術後半年の健診を予定していた。
退院後「バクタ」の副作用なのか、気持ち悪さが徐々に増してきてまたも食欲が低下しだした。
朝起きても体がだるくパッとしない。
そんな状態が続いたまま、京都大学病院での半年健診を迎えた。
検査が早朝から始まるので、両親付き添いの元、前日に京都入りし2泊3日の予定だった。
前日の夜もせっかくの京都、美味しい物を堪能したいところなのに全く食欲は無く、お茶漬けを半分食べるのがやっとでした。
検査当日、採血を終え、管理栄養士の先生と食事について面談していましたが、体調が悪くあまり会話が頭に入ってこない。
途中、採血結果を見ると、ナトリウムの数値がかなり低い事がわかり中断してそのまま処置室へ。
処置室で横になり、そのまま入院する事になりました。
「バクタ」内服を見なおし
「バクタ」という抗生剤は昔からある薬だけど、今もなおとても優秀な薬としてよく使われているそうです。
しかし、毎食3錠という量は私の体には少し負担が大きすぎたのか、副作用によって食欲不振を招き、さらに塩分不足(ナトリウムの低下)という悪循環に陥っていました。
そういった事から京都大学病院では抗生剤の見直しをする事になりました。
「バクタ」を月・水・金の朝1錠に戻し、新たに「ミノサイクリン」と「オーグメンチン」という抗生剤に切り替える事にしました。
「ミノサイクリン」は朝・夕に1錠。
「オーグメンチン」は毎食後に2錠です。
「バクタ」に比べ抗生剤としての力は低いようですが、現状でレントゲンなどで病変は見られない為、少し弱い物に変更しても大丈夫だろうとの事で変更に至りました。
入院して、生理食塩水の点滴投与、「バクタ」の中止で直ぐに体調が改善されました。
新たな抗生剤を始めても特に副作用が出る事も無く、1週間の入院を経て退院できることになりました。
追記:治療開始から1年経過
2018年10月下旬から始まった内服薬の服用も1年を迎えた11月上旬の通院を持って終了となりました。
京都大学病院から内服が始まった抗生剤で新たな副作用も発生しました。
これで内服薬が2種類減りました。
気持ち的にもかなり楽になりました。
11月に入り、色々なウイルスなどが流行するので、感染に十分気を付けて生活してきます。
まとめ
肺ノカルジア症での入院経験のお話でした。
今回の治療では何よりも辛かったのが薬の副作用でした。
菌をやっつける為に始めた薬に私自身がやられてしまい、2ヶ月に渡り辛い思いをしました。
今回の抗生剤そのものが悪いわけではありませんが、人によって合う合わないというのは必ず出てきますし、薬は副作用も伴います。
本当に薬というのは良くも悪くも紙一重な部分があると感じます。
内服を始めて少しでも違和感を感じたら、しっかりと担当医に報告して対処してもらわなければいけないと思いました。
今回のノカルジア感染を経験して、より一層、外部からの感染に気を付けなければ行けないと思い知らされました。
もうこれ以上薬が増えるのは嫌です。