こんにちはkohapaです。プロフィール
20歳の頃から肺に難病を抱え、2017年の4月に肺移植に向けてのドナー患者登録をしました。
闘病生活を送っていた33歳ある日の朝、突然心臓が止まりかけ、救急車で運ばれ緊急の処置を施しました。
病名は「完全房室ブロック」と診断を受けました。
まさに危機一髪という経験でした。今回は「完全房室ブロック」という病気が、どんな症状を起こすのか経験談をお話します。
完全房室ブロックはなんの前触れも無く表れた!
2017年6月末のある朝「気持ち悪い」という感覚と共に目が覚めた。
何となく不安を感じ、先に起きてキッチンで朝ご飯の準備をしていた妻に電話をして水を一杯持って来てもらった。
とりあえずトイレに行って用を足した後、リビングのソファに腰かけて少し様子を見る事にした。この時のSPO2 は99%、脈も80程あった。
6月下旬、気温的には寒い程ではないが、寒気に襲われる、毛布にくるまって寒気に耐えると今度は体が熱くなり顔から汗が滴り落ちるくらい汗をかいた。
発汗が終わると今度は吐き気に襲われ嘔吐。それを3回繰り返した。
さすがにおかしいから病院に行こうと妻に言われ、病院に電話をした。
症状を話すと、食あたりを疑っていたが、早く診てほしいなら救急車を呼んだ方がいいと言われ救急車を呼ぶことにした。
この判断が、生死を分けたと言っても過言ではない。
救急車が到着!緊急外来での処置
私の住んでいる所は山の中、救急車の到着には20分かかった。
救急車が到着し、救急隊員に症状について色々と聞かれた、それと同時に血圧測定。
すると脈が30しかない!!さすがに救急隊員も何かの間違いかと思ったのか再度測定。しかし結果は30。手首から実際に脈をとっても確かに30程度しかない事が確認された。
この時点で意識はしっかりしていたものの、脈が30しか無いという事実を知ったのもあってか、喋るのが辛くなっていた。
病院がある場所も救急車で約20分かかる、振り返ってみても、よく持ってくれたな私の心臓!と褒めてあげたい。
病院に着くと心電図をとりつけ心臓の動きを確認。すぐに医師から「房室ブロック」だなという言葉が出た。
その後、ストレッチャーのままレントゲンを取り、処置室に戻る。
外来受診中の循環器医師が、走って救急外来にやってきて、直ぐに緊急のペースメーカー取り付けの処置が必要という事になった。
体外式ペースメーカー装着の緊急手術を受ける!
緊急手術の準備に取り掛かる。
術衣に着替える必要があったが、もう体を起こして自分の着ているシャツを脱ぐ力も出なかった。
シャツをハサミで切って術衣に着替えた。
しばらくトイレに行けないという事で、尿管に管を通したが、これがめちゃくちゃ痛かった。
正直、これまで受けてきた処置の中で一番痛かった。これはもうやりたくない。
計器を体に付けて手術の準備が整った。
ストレッチャーに乗ったまま、急いで救急外来から手術室まで移動し、直ぐに準備が始まった。
局所麻酔なので記憶はある。処置室に入って準備をしている時に一瞬脈が17まで低下し頭がふわーっとする感覚があった。
医師が心臓マッサージの指示をだし看護師に体を揺すられると心拍がまた30程度まで上昇、やり取りを聞いていても少しヒヤッとした場面だった。
ベテランの医師だったのでとてもスムーズな処置だった、首の血管から電極を通し、しばらくすると心臓に到達、電気を送る事で脈が60程度に回復した。
無事に緊急の処置は終わった。緊張していた体の力が抜けるような感覚でした。
青白かった顔もみるみる肌色に戻ってきたと医師に言われた。
ICU病棟でしばらく様子を見る事に
処置後はICUに移動し、様子を見る事になった。
しばらくして処置をしてくれた医師から説明があった。症状としては「完全房室ブロック」。
心臓は心房から心室へ電気信号が伝わる事によって動く仕組みになっている。
その電気信号が途絶えてしまう事を完全房室ブロックという。
処置後は自脈で心臓が動いているようだったが、33歳という年齢で完全房室ブロックが出る事は極めて稀な事だと言っていた。
1度この症状が現れてしまったら同じ症状が起きる可能性が極めて高い。
そうなった時に心臓の動きを助ける為に、ペースメーカーを胸に埋め込む事になるよ、と言われた。
私の場合は肺移植との関係もある為、すぐにペースメーカー埋め込みとは行かず、通院中の大学病院との話合いの結果を待って今後の方針が決められる事になった。
重病患者用の病室での生活
この病室では携帯を使う事が出来ないし、外の景色を見る事も出来ない。
体外式のペースメーカーが首から繋がっている為、ベッドから降りる事も出来なければ、勝手に起き上がるのもダメ。
症状としては安定していたが、3日間はこの病室から出られなかった。できる事は読書、過去に経験が無いくらい1日が本当に長く感じた。
面会は可能で、両親や、妻が見に来てくれた。妻には、携帯が使えないので、娘の写真を現像して持って来てもらった。
4日目、ようやく個室に移れる事になり。聞いた時から嬉しくてニヤニヤが止まらなかった。
病室からは外の景色が見えてなんだかホッとした。
携帯も使えるし、テレビも観られる。
ベッドからはまだ降りられなかったけど、それだけでじゅうぶん気晴らしになった。
個室へ移って3日目に、各病院の医師同士の話し合いの末、大学病院へ転院してからペースメーカーの埋め込み手術を受ける事に決まった。
緊急入院から7日目の朝、救急車で約1時間。通院中の大学病院へ転院が完了した。
大学病院へ到着。2日後に手術を行う事が決まる
転院してすぐ手術するのかと思っていたが、2日後に行われる事になった。
ペースメーカーは毎年約4万人が新たに埋め込み、装着者は40万人に上る。
装着者の平均年齢は74歳で9割が65歳以上という。
その情報を大学病院で聞いてそんなにたくさん居る事に驚いた。
転院先の大学病院でも毎日5人程が埋め込み手術を受けるという。転院当日も92歳のおじいさんの埋め込み予定もあると聞きさらに驚いた。
予定入院で埋め込み手術をする方がいっぱいで、2日後にしか出来ないという事だった。
2日間、のんびりと手術に備える事にした。
完全房室ブロックを経験して
本当になんの前触れも無く症状が現れた「完全房室ブロック」でした。
今までに特に心臓に不安を覚えた経験も無く、前日も娘と普通に室内で遊んでいました。
まず、33歳で「完全房室ブロック」になるというのは、極めて稀。
その後の検査でも肺疾患との因果関係は認められず、原因はよくわからないままです。
しかし、命が助かった事実はあるので、一つの経験として前向きに生きていきたいと思います。
救急車を呼ぶという判断はなかなか躊躇してしまう行動だと思いますが、救急車を呼ばずに病院へ行き、一般外来で受付をしていたら、命が無かったかもしれません。
医師からも、1時間遅かったら多分助かっていないと言われた程でした。
生死を分ける判断をしてくれた最愛の妻に感謝です。